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「壱吾!」
裏口を出たところで、タイミングよく向こうから歩いてきた壱吾に手を振ると、私は勢いよく壱吾の胸に飛び込む。
「っと、お疲れ。なに、珍しいね」
「だって久し振りじゃん……」
ぎゅうっと腰に腕を巻きつけ、壱吾の胸にグリグリとおでこを押し付ければ、壱吾の匂いにどこかホッとする。
「ん、寂しかった?」
「………寂しかった」
私の頭の上で、壱吾がふっと笑う気配がする。
昔の私と比べると、ずいぶん素直になったことからくるものだろう。
そのままぎゅっと抱きしめ返されると「俺も」と、耳元で囁いた。
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