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「今日、泊まってくだろ?」
部屋の鍵を開けながら隣にいる私を見下ろす壱吾の前に、私はカバンを持ち上げてみせる。
「うん。そのつもりで用意してきた」
……といっても。
壱吾のアパートには少しずつ私の私物が増えているため、泊まる用意といっても着替えだけ。
「もう着替えも置いときゃいいのに。いちいち持ってくるの面倒だろ」
「……別に。置いとく方が……いろいろと不安……」
着替えはよくても、さすがに下着だけは抵抗がある。
見られて困るものではないけど、出来れば見られたくないもの。
そんなことを考えながら部屋に足を踏み入れ、リビングのドアを開ける壱吾に続く。
真っ暗な部屋にパチ、と明かりが灯ると、久し振りに見る壱吾の部屋が顔を覗かせた。
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