〈過去〉19歳・初夏

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「今日、泊まってくだろ?」 部屋の鍵を開けながら隣にいる私を見下ろす壱吾の前に、私はカバンを持ち上げてみせる。 「うん。そのつもりで用意してきた」 ……といっても。 壱吾のアパートには少しずつ私の私物が増えているため、泊まる用意といっても着替えだけ。 「もう着替えも置いときゃいいのに。いちいち持ってくるの面倒だろ」 「……別に。置いとく方が……いろいろと不安……」 着替えはよくても、さすがに下着だけは抵抗がある。 見られて困るものではないけど、出来れば見られたくないもの。 そんなことを考えながら部屋に足を踏み入れ、リビングのドアを開ける壱吾に続く。 真っ暗な部屋にパチ、と明かりが灯ると、久し振りに見る壱吾の部屋が顔を覗かせた。
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