2053人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、これ新曲かな」
ズイ、と身体を前のめりにさせ、数十秒のCMを食い入るように観ていると、壱吾が少し身体を伸ばし、目の前のテーブルにグラスを置いた。
「香音」
「ん?」
CMが終わり、隣の壱吾へ顔を向ける。
「ちょっと、俺の前に立って」
「前?…なんで?」
「いいから」
私は同じようにテーブルにグラスを置くと、言われたように壱吾の前へ立つ。
ベッドに座ったままの壱吾を見下ろす形になると、壱吾の腕が私の腰に回り、クイと引き寄せられる。
「い、壱吾?」
「充電さして」
さっきの私と反対で、今度は壱吾が私の胸の辺りに顔を埋める。
なんだか甘えられているような気分になり、私は壱吾の髪をサラ…と撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!