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馬乗りの状態のまま見つめ合うと、壱吾の唇が動く。
「就活、どう?」
「………それ、この体勢で話すこと?」
私としては、すぐにでも壱吾の上から離れたい。
なのに、がっしりと腕でホールドされて身動きすら出来ずにいる。
「こんな機会、なかなかないし」
「やだ。恥ずかしいから離して」
壱吾としばし無言の睨み合いが続く。
ふっと小さく息を吐く音が聴こえたと同時に、ぐるりと身体が反転された。
背中に柔らかな感触が触れると、私の顔の横に手をつき、見下ろす壱吾の姿。
「これなら、いつもやってることだから恥ずかしくねーよな?」
少し目を見開いて固まる私に、
「さぁ、ナニしよっか?」
楽しそうな笑みを浮かべ、私の反応を伺うように、スル、と大きな手のひらが太腿を撫でた。
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