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「………ん、」
ぼんやりとした意識の中、薄っすらと目を開けた私の目に映るのは、まだ暗い部屋と壱吾の寝顔。
壱吾に抱きかかえられるようにして眠る私の耳には、スースー…と定期的に寝息が聴こえてくる。
「…………な、んじ」
しっかりと背中に回された腕から抜け出そうとするけど、思った以上に身動きが取れない。
なんとか手を伸ばして探り当てたスマホで時間を確認すると、朝の4時を回ったところだった。
そっとスマホを元に戻すと、また壱吾の胸元に顔を埋める。
お互いの肌と肌の触れ合う感触が、徐々に昨夜の出来事を思い出させた。
とろけそうなほどの甘い夜を「幸せ」なんていう言葉じゃ表せなくて。
何度となく「好き」だと伝えても足りない。
だけど、それ以上の気の利いた言葉が見つからないから、結局同じ言葉を並べてしまう。
そっと見上げた壱吾の無防備な寝顔に唇を寄せ、頬にキスを落とす。
「………だいすき」
そうポツリと零すと、再び目を閉じる。
肌の温もりと定期的に刻む胸の音が心地良くて、また私は眠りについた。
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