〈過去〉19歳・初夏

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****** それから。 お互いに忙しい日々を過ごしながらも、時間を見つけてはデートを重ねた。 壱吾と過ごす3年目の夏。 花火にお祭り、BBQ、なんとか今年もプールへ行くこともできた。 壱吾の誕生日には、2人で京都旅行へ。 一泊二日の旅はあっという間で「帰りたくないなぁ」と、わざと寄り道をした私のせいで帰りの新幹線に乗り遅れそうになり、京都駅を走る羽目にもなった。 楽しいこともあれば、小さなことで喧嘩をすることもある。 素直に謝れない私は、いつも壱吾の背中に向かって言葉をかける。 そんな私を壱吾は、いつも何も言わずにただ優しく抱きしめてくれた。 そして。 気づけば私のハタチの誕生日が、すぐそこまでやってきていた。
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