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私は完全に、はしゃいでしまっていた。
時にはあの日の出来事を思い出しながら、また新しい思い出を重ねていく。
時間なんてあっという間で、気付けば辺りはもう暗くなり始めていた。
「わあ!見てみてっ!ほら、すっごく綺麗!」
観覧車の窓から見える外の景色に興奮した声を上げると、壱吾もその視線の先を辿る。
黄金のイルミネーションがキラキラと輝いていて、一面を彩っていた。
「壱吾、今日はありがとう!すっごく楽しかった!」
向かい合って座る観覧車の中でそう言うと、壱吾はどこかホッとしたような顔を見せる。
「ん。香音が楽しかったならよかった」
ゆっくりと上昇を続ける観覧車は、どんどん暗い夜空へ吸い込まれていくような感覚になる。
所々に光る星が、まるで目印のように思えた。
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