〈過去〉19歳・初夏

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手のひらに何かが乗せられると、ひと呼吸おいた壱吾が「目、開けていいよ」と、声を掛ける。 私は言われた通りにそっと目を開けると、小さな白い箱が私の手のひらにちょこんと乗っていた。 「………なにこれ」 「誕生日プレゼント」 「えっ!?」 今日は誕生日だからと、デート代は全て壱吾が出してくれた。 だからそれがプレゼントなんだと思い込んでいた私は、目の前にある箱に驚いて壱吾と交互に見比べる。 「……もらっていいの?」 「うん。開けてみ」 シンプルな白い箱を上下に開けば、見覚えのある指輪が姿を見せる。 「……え、うそ。これ…!私が欲しいって思ってたやつ!何で知ってるの?私、一度も言ってないよね?」 「この指輪のCM流れると、いっつも食い入るように見てんじゃん」
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