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………そんなにわかりやすくテレビに齧りついていたんだろうか。
無意識ほど怖いものはない。
私はもう一度、手の中にある指輪に視線を落とす。
ゴールドの細いリングの中心に淡いピンク色の石で花の形を作っていて、そのサイドには淡いブルーとグリーンの石が並ぶ。
「………ほんとに嬉しい」
指輪をじっと見つめる私の頬は、これ以上ないくらいに緩みきっている。
「壱吾、ありがとう!大事にするね!」
「はめてみてもいい?」と、目を輝かせながら問いかければ、壱吾は何も言わずに私の手から指輪の箱を取る。
「はめてやるから、右手出して」
「………左手じゃないの?」
「左手は、ホンモノしかさせたくないから」
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