〈過去〉19歳・初夏

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「いろんな人と出会って、学生の俺と比べたら、地位もお金もある大人の男が香音の周りに沢山いて……。俺なんか頼りなく感じるかも」 「………そんなこと」 なにを言っても安心できる言葉にならない気がして、ただギュっと壱吾の手を握る。 「香音のことは信じてるし、俺も離れるつもりないんだけど。…ちゃんと言葉にして伝えておこうと思って」 そう言うと、壱吾は真剣な表情で真っ直ぐ私の顔を見つめる。 バクバクと心臓の音が耳に響く。 「……俺も大学卒業して、就職して、自分に自信がついたら香音にプロポーズするから。…少し時間はかかるけど、俺のこと信じて待っててほしい」
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