〈過去〉19歳・初夏

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またベッドが軋み始めると、簡単に艶のある声が零れていく。 「……香音」 耳元で切なげに囁かれると、もう何も考えられなくなる。 ただ全身で想いを伝えることしかできない。 「も、っと……ゆっ…くり、」 「………悪い。まじで加減できねー」 荒々しく唇を塞がれ、零れるはずの声が籠る。 抱えられるように揺らされ、必死に汗ばむ肌を寄せ合った。 「……っ、香音、好きだよ」 それに答える余裕すらなく、返事の代わりに重ねた手に力を込めた。
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