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「羽村くんより先に俺が聞いちゃって大丈夫?バレたら拗ねるんじゃない?」
「あ!……じゃあ、コレでお願いします」
クスクスと笑う津坂さんに向かって右手の人差し指を唇の前にかざすと、ガチャ、という音と共に事務所の扉が開いた。
「お疲れさまでー……あれ、津坂さんまだいたんですか?」
「あ、筒井くんお疲れさま。もう帰るよ」
一つ大きな欠伸を零しながら、筒井くんがこっちに足を一歩踏み出す。
お互いに「お疲れ」と頭を下げ合うと、私は備品室の鍵を手に足元のダンボール箱を持ち上げた。
「じゃあ、私、これ片してきますね」
「うん、お願いね」
事務所を後にした私は、鍵をポケットに入れて備品室に向かって歩き出した。
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