〈過去〉19歳・初夏

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それによって支えをなくしたドアは、いつもよりガチャンと大きく音を響かせて閉まる。 和田さんは真剣な眼差しで私を見たかと思えば、すぐにいつもの笑みに戻った。 「あれ?2人きりって言われて、今意識した?」 「っ、してません!」 一瞬、いつもと違う気がしたのは気のせいか……。 和田さんは壁に背を預けると、ハハ、と声を上げて笑う。 「ねえ、最初に会った時のこと覚えてる?」 突然の質問に意図がわからず、私はとりあえず頷く。 「あの時も言ったけどさ、北見ちゃんってまじで俺のタイプ、ど真ん中なんだよねー」 ザワザワとしたなにかが、私の中をぐるぐると渦巻いていく。 「彼氏いるのは知ってるけど、俺にとってはどうでもいいっていうか?そっちの方が余計に燃えるし」 口元には穏やかな笑みを浮かべているのにそれがなぜか怖くて、私は無意識に半歩後ろに下がった。
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