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「………な、にして……」
手袋を持つ手が微かに震える。
いつもと違う和田さんに、とてつもない不安に襲われた。
「……北見ちゃんってさ、本当に彼氏以外には興味ないよね」
ジリ、とまた一歩距離を詰められる。
すぐ後ろは壁。逃げ場はない。
「……それの、なにがいけないんですか?」
「勿体無いな~と思って。彼氏だけが男じゃないんだよ?」
「……意味がわかりません」
背中が壁に触れると、私を逃さないように壁に手を突いて囲む。
キッと睨みつければ、和田さんは緩く口元を釣り上げた。
「他の男を知る、いい機会だと思わない?」
「……思いません!」
無理矢理抜け出そうと和田さんの腕を押し退ければ、簡単に腕を掴まれ、そのまま壁に押し付けられる。
手にしていた手袋の箱は私の手から滑り落ち、音を立て床へと落ちた。
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