〈過去〉19歳・初夏

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和田さんは私の足の間に自らの足を滑り込ませると、私達は今までで一番近い距離になる。 必死で腕を振り解こうとするけど、ビクともしない。 「離して下さいっ!」 「ぶっちゃけさー、彼氏より俺の方がいい男だと思わない?」 「壱吾より、いい男なんかいない!」 「あー、はいはい。っんとにイラつくね。これだけ落ちない女も初めてだわ」 そう言いながら髪にキスをすると、カリ、と耳朶に歯を立てる。 ゾワゾワとした悪寒が走り、思いっきり顔を背けて抵抗した。 「いい男かどうかなんて、他を知らなきゃわかんねーじゃん。…な、俺と試してみようぜ。一回くらい、どってことないだろ」 「っ、やだ!離してっ!」 首筋に顔を埋めると、チク、とした痛みが走る。 私の腕を片手で頭の上で纏め上げると、頬を掴みキスをした。
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