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「……和田くん、だよね?」
何も答えない私に津坂さんは自らのカーディガンを脱いで私に掛けると「……羽村くんに連絡するから」と、ズボンのポケットから携帯を取り出す。
私はそれを目にした瞬間、
「っ、やだ!!壱吾には、絶対言わないで下さいっ!お願いしますっ!!」
ボロボロと涙を流す私を見て、津坂さんの方が苦しそうな顔をする。
「でも、………」
「お願い、します……絶対知られたくない!壱吾には……言いたくない………」
すると、廊下に津坂さんを探す筒井くんの声が響いた。
津坂さんはパッとドアの方へ視線を向けると、
「……ちょっと待ってて」
そう言って急いで立ち上がり、備品室を出て行った。
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