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「悪い。待たせた」
少し息を切らせた店長が、こちらに向かって歩いてくる。
その表情は津坂さんと同様にかたい。
「………北見、大丈夫か?」
「……はい」
店長は津坂さんの隣に椅子を並べて座ると、深い溜息を吐いた。
「こんなことになって申し訳ない。……和田本人の希望通り、店は今日付けで辞めることになったから」
ギシ、と椅子が軋み、静かな事務所に響く。
「北見はどうする?……元々来月末で辞める予定なんだ。残りのシフトくらいどうにかするし、辞めるのが少し早まっても平気だぞ?」
………正直、笑顔で接客出来る自信はない。
お店は辞めても、お客として和田さんが絶対来ないとも言い切れない。
でも………
「………お店には、迷惑かけたくない…です」
このバイトが、このメンバーが大好きだった。
ここで働かなければ壱吾にも出会えなかったし、私にとっては大切な場所。
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