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「迷惑とか考えなくていいから。……俺は北見さんに無理してほしくない」
津坂さんは眉を潜め、心配そうな顔をする。
店長は腕を組み、じっと何か考え込んだあと、私に一つ提案をした。
「……じゃあ、ホールじゃなく厨房に入るか?」
「……え、」
「表に出るには、いろいろと不安もあるだろう。中なら、そういった不安は多少取り除けるだろうし……」
私は基本ホールを担当していたけど、忙しい時や人手が足りない時など、助っ人として厨房に入ることもあった。
まぁ、主にするのは食器洗浄だったけれど。
「……いいんですか?」
「それはこっちのセリフだよ。…北見がいいなら、来月末まで厨房で頑張ってほしい」
私がしっかりと頷くと、店長はふっと笑う。
だけど津坂さんだけは、複雑な表情をしていた。
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