〈過去〉19歳・初夏

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***** それから三週間後。 久し振りに壱吾のアパートの前に立ち、インターフォンを鳴らす。 あれから。 適当な言い訳を並べて、壱吾と会うことを避けてきた。 内緒にすると決めたのは私自身なのに、壱吾に会うのが怖い。 いつもと変わらない私でいられる? 壱吾の前でちゃんと笑える? そんなことばかりが頭の中をぐるぐると回って、身動きが取れずにいた。 逃げたってどうにもならないのに、すぐ怖気づいてしまうのは私の悪い癖。 ーーーピンポーン……とインターフォンが部屋に響いたあと、わりとすぐに玄関の扉が開く。 「…なんでインターフォン鳴らしてんの。いつもみたいに合鍵、使えばいいのに」 「あ、…久し振りだし、何か緊張して……」 壱吾の顔を見た瞬間、ものすごく速いスピードで胸の鼓動が刻まれていくのがわかった。
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