〈過去〉19歳・初夏

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テーブルに向かい合って座り、目の前のオムライスとサラダを眺める。 「ん、どうぞ」 「…いただきます」 スプーンでひと口分のオムライスを掬い、口に運ぶ。 「……美味しい……」 少し形は崩れていても、卵は半熟で中にチーズが入っている。 最初の頃からは想像出来ないくらいの料理の上達具合に少し驚いてしまった。 「すごいじゃん……結局、何でも器用にこなすよね。これなら、私もうご飯作らなくてもよくない?」 「それとこれは別。…自分のために料理なんかする気になんねーもん」 オムライスを頬張り、今日の出来具合を確かめるかのように小さく頷く。 「じゃあ…なんで作る気になったの?」 「なんでって……今日バレンタインだろ」
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