〈過去〉19歳・初夏

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私の答えに、行き場のない感情を溜息として吐き出すしかない壱吾は低い声で問う。 「……理由は?」 「………」 「あるだろ?別れたい理由」 掴んでいた私の腕を離すと、うなだれるようにドカっとベッドに腰を下ろす。 ピリ、っとした空気の中、私は重い口を開いた。 「…………もう、……好きじゃなくなった」 「好きだ」と想いを伝えた時より、嘘でも「好きじゃない」と告げる方が勇気がいるなんて。 今、口にするまで知らなかった。 「なに、その理由。全然笑えねえんだけど。……他にあるだろ……好きな奴が出来たとか、浮気したとか。……頼むから、俺が許せる嘘吐けよ」
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