最後の嘘。

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「えっ!?」 「ん?」 「は?」 みんなの視線が壱吾に突き刺さり、誰もが驚きを隠せずにいる。 ドクドク、と徐々に激しくなっていく胸の音に、私はゴクリと喉を鳴らした。 「え、なに?俺、全然話ついていけないんだけど……」 「ちょっ、待って待って!今は、って……え!?」 「有紗、落ち着けって」 周りがザワザワとしている中、ただ呆然と壱吾を見上げると、 「もう隠さなくったっていいだろ。……それより、香音に訊きたいことがある」 周りの声に耳を貸すことなく、淡々と話を続ける。 ………訊きたいこと? ああ、なんか嫌な予感しかしない。 「お前、俺に黙ってることあるだろ」 一歩、壱吾は私の方へ距離を詰める。 「………な、んのこと……」 「俺、今日、津坂さんに会ったよ」
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