最後の嘘。

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サー…と血の気が引くような感覚に、足元がフラつきそうになるのをどうにか踏みとどまる。 ………壱吾に、知られた。 その事実から目を背けたくて、パッと視線を足元に落とす。 「…………なんで、言わなかったんだよ」 怒ってるわけでも、呆れているわけでもなく、ただただ切なげな声が頭上に響く。 「そんな小さな身体で、全部一人で抱えてさ……」 今、壱吾がどんな表情をしているのか、顔を見なくたってわかる。 きっと私以上に苦しそうな顔をしているはず。 「………俺って、そんなに頼りなかった?」 ………そんなわけ、ない。 でも言葉にすることが出来ず、俯いたまま手で作った拳にぎゅっと力を入れた。
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