最後の嘘。

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ーーー次の日。 泣き腫らした目を無理矢理メイクで誤魔化して出社すると、更衣室の前にすでに制服に着替えた瑞妃が立っていた。 昨日の出来事の気まずさを思い出しながらも、私はゆっくりと瑞妃の元へ近付く。 「………お、はよ」 私に気付いた瑞妃は挨拶を返すことなく、カツカツとヒールの音を鳴らし、私の前に立った。 「何で羽村さんとのこと、黙ってたの?」 眉間に皺を寄せ、開口一番にそう口にする瑞妃に、私は小さく頭を下げる。 「………ごめん。……なかなか、言い出せなかった」 「私が、羽村さんを狙ってたから?」 瑞妃のその言葉に、ぐっと押し黙る。 「確かに言えないよね。『瑞妃の気になってる人は、私の元彼です』…なんて。しかも、その元彼が私もまだ好き、なんて」
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