最後の嘘。

17/37
前へ
/747ページ
次へ
「なんでっ?今日逃したら、もう会えないかもしれないんだよ!?……まだ好きなんでしょ?」 ひと際、グイ!と力強く揺さぶられ、まるで自分のことのように有紗が目元を潤ませる。 「……だっ、て……これから仕事だし。それに………行く理由が、ないよ……」 差し伸べられた手を振り払ったのは私なのに、会いに行ってどんな顔で何を言えばいいの? すると。 「理由って必要?」 声のした方を見れば、あの日以来、どことなく気まずいままだった瑞妃が私服姿で立っていた。 「えっ、…なんで……今日休みじゃ、」 「香音の代わり」 「え…?」 私の横をすり抜けると、自分のロッカーの鍵をガチャ、と開ける。 「いい加減、自分の気持ちに素直になれば?」
/747ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2052人が本棚に入れています
本棚に追加