2052人が本棚に入れています
本棚に追加
駅に向かう車内では、今まであったことをどこから話そうか…とか、とにかく今までのことを謝りたい…なんてことばかり考えながら、チラチラと腕時計で時間を確認する。
「………ギリギリかな」
手元の時計は、ちょうど11時を過ぎたところ。
間に合わないかもしれない不安が、私の中で大きくなっていく。
一分一秒が、こんなにも惜しい。
気付けば弱気になってしまいそうな自分をブンブンと振り払い、キュッと前を見据える。
………間に合わなかったら、広島まで行こう。
最初から、そのくらいの覚悟で来てるんだから。
流れる景色を窓から眺めながら、ギュっと手に力を込めた。
*****
駅に着き、電車を降りれば、ホームには人の波が溢れている。
その間をすり抜けながら、新幹線の改札口を目指す。
「っ、すみませんっ……」
思ったよりも人が多く、思ったように進めない。
時計の針は止まることなく、時を刻んでいく。
長い列が出来ているエスカレーター横の階段を急いで駆け降り、必死で走った。
最初のコメントを投稿しよう!