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行き交う人々の視線が、チラチラと視界の端に映る。
私達を見てヒソヒソと話しながら、横を通り過ぎる人達もいる。
だけど今、そんなことはどうだっていい。
「………い、今更だって思うかもしれないけど……っ、本当は私も………ずっとずっと壱吾のことが好き……」
誤魔化してばかりだった本音を、今、しっかりと壱吾の目を見て告げる。
そんな私を呆然と見下ろす壱吾の瞳が微かに動くと、
「………え、お前もしかして……それ言うためにわざわざ来たの?」
目を丸くして「……まじかよ」と小さく零したのを耳にすれば、さっきまでの勢いが一瞬にして萎んでいく。
「…………ごめ、」
「なんだよ、もう。……こんなん反則だろ」
そのままふわりと抱き締められると、
「これ、喜んでいいんだよな?」
壱吾の言葉に腕の中で首を上下に振れば、抱き締める腕にぎゅっと力が込められた。
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