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「………いっぱい嘘吐いて、傷付けて……ごめんなさい。……それでも、好きでいてくれて……ありがとう…」
六年前のあの日のことを、どうしても謝りたかった。
謝ったからといって私が吐いた嘘が消えるわけじゃないけど、それでもなかったことにはできない。
「……正直言えばさ、あの時は本当辛くて。思い出したくもないくらい精神的にどん底まで落ちたし、もう誰も好きになれねえって思ってた。……本当のことを知った時も、まさかそんなことがあったなんて思いもしねえし。香音が苦しんでる時に何にも力になれなかったのは、結構ショックだった」
そう言いながら、私の存在を確かめるように一段と抱き締める腕に力を込めると、
「……でも、今、香音は俺を好きで、俺の腕ン中にいる。その事実が、今までのこと全部吹き飛ばすくらいに幸せ。……だから、もう絶対俺から離れんな」
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