最後の嘘。

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ーーーそれから、一週間後。 「あ、香音、そのワンピース可愛いじゃん!まさにデートにピッタリ♪…だね」 早出で仕事を終えた私が更衣室で着替えていると、これから休憩に入る瑞妃が顔を覗かせる。 ニヤニヤとした顔を向けられ、何も言い返すことが出来ずに押し黙る私を斜め後ろでクスっと笑うのは、私と同じ早出上がりの紗羽。 「そりゃお洒落するよねー♪一週間振りに"彼氏"に会うんだからー」 彼氏という言葉を強調して瑞妃の後ろから有紗もひょこんと顔を出す。 「……その節は、大変お世話になりました」 そう言って瑞妃達に頭を下げると、 「本当だよねー。全く世話が焼けるんだから」 「どうせ毎日電話してたんでしょー?幸せそうな顔してたもん」 「ほんと。香音の惚気話が聞ける日が来るなんて、思ってなかったな」
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