最後の嘘。

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次々と繰り出される会話に、私は思わず苦笑いを零す。 ………私、そんなわかりやすいかな? 自然と両手を頬にやると、ロッカーの鏡でチラっと確認した。 「本当に心配ばかり掛けてごめんね。……こうして今、私が壱吾のそばにいられるのは……みんなのお陰、です」 改めて御礼を述べると、有紗がニヤニヤしながらポツリと零す。 「まぁ、あれ全部考えたの瑞妃なんだけどね」 有紗に肩をポン、と叩かれると「ちょっと!内緒だって言ったじゃん」と、眉を寄せる。 照れくささを隠しながら私をチラっと見ると、わかりやすく唇を尖らせた。 「………だって、イライラするじゃない。好きなくせにくっつかないのって。……こっちは早い内に、告白すらさせてもらえずに振られてんのに」 瑞妃の言葉に隣にいる有紗も「えっ!?」と、驚きを隠せずにいる。 「……前に羽村さんとご飯に行くって言ってたでしょ?あの時に、まぁそれはハッキリと言われたの。『ずっと好きな人がいるから、もし相田さんが特別な想いを持っててくれても応えられない。二人で会うのも今日だけ』って」
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