壱吾Side*プロローグ

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………今回はニヶ月、か。 あの日。 一方的な別れを告げられてからここ2年ほど、まともな恋愛をしていない。 いつも香音に似た女なら好きになれるかもしれない、…なんて思って付き合い始めるけれど、結局このザマ。 「…………もう一生、恋愛できねーかも」 瞼を閉じれば、あの日の彼女が浮かぶ。 冷たく突き放された言葉は、今も俺の胸に刺さったまま抜けない。 「………香音」 静かな部屋に響く、今も愛しい人の名前。 今、どこでなにしてる? もう俺のことなんて、とっくに忘れてんのかな? 「……俺はやっぱりお前以外の奴は、好きになれねーよ」 報われることのない想いを抱えたまま、ここから4年。 まさかあの合コンが再会へと繋がっているなんて、このときは欠片も思っていなかった。
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