小さな嘘。

再会

会社を出て、ここから歩いて15分程のお店を目指す。
今日の合コン相手は主任の大学時代の後輩で、俺達の会社の最寄り駅から三つ先の駅前にあるデパートで働いている子達だと言っていた。

彼女を作る気もない俺にとっては、相手の情報なんてどうでもいい。
今日も上手く交わしてさっさと帰ろう。
………そう思っていたはずだった。

店に到着すると、店員に部屋へと案内される。
個室のガラス戸からは、すでに楽しそうに盛り上がる男女の姿が見えた。
手前のソファでは、俺の大学時代の先輩が今まさに一人の女性に迫っているところ。

「…………先輩、相変わらずだな」

別に助ける義理なんてないけど、先輩の強引さに女性が困っているような気がして。
俺はドアを押し開けると、先輩の元へ向かった。