再会

5/40
前へ
/747ページ
次へ
彼女はこちらを見ることなく、手元のシャンパングラスへ視線を注いでいる。 …………香音、なんだよ…な? 隣に座る主任の相手をしながら、斜め前に座る彼女をチラチラと眺める。 栗色のミディアムヘアに揺れるピアス。 パッチリとした瞳に、淡いピンク色のリップ。 あの頃の面影はあるものの、確実に大人の女性へと変身した彼女。 …………綺麗になったな。 あの頃の思い出と一緒に、再び恋心が溢れ出した瞬間。 「羽村さん、シャンパンでいいですか?」 俺の右隣に座る女性に声を掛けられて、慌てて笑顔で返事を返す。 「あ、はい。…ありがとうございます」 甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる彼女は、 暗めのブラウンカラーのボブヘアに、クルンとカールされた長い睫毛、ほんのり紅く染まる頬。 爪には派手すぎないシンプルなネイルが施されていた。
/747ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2052人が本棚に入れています
本棚に追加