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彼女はこちらを見ることなく、手元のシャンパングラスへ視線を注いでいる。
…………香音、なんだよ…な?
隣に座る主任の相手をしながら、斜め前に座る彼女をチラチラと眺める。
栗色のミディアムヘアに揺れるピアス。
パッチリとした瞳に、淡いピンク色のリップ。
あの頃の面影はあるものの、確実に大人の女性へと変身した彼女。
…………綺麗になったな。
あの頃の思い出と一緒に、再び恋心が溢れ出した瞬間。
「羽村さん、シャンパンでいいですか?」
俺の右隣に座る女性に声を掛けられて、慌てて笑顔で返事を返す。
「あ、はい。…ありがとうございます」
甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる彼女は、
暗めのブラウンカラーのボブヘアに、クルンとカールされた長い睫毛、ほんのり紅く染まる頬。
爪には派手すぎないシンプルなネイルが施されていた。
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