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「羽村さんって、お幾つですか?」
シャンパンが注がれたグラスを手渡しながら、その彼女は質問を投げかける。
「今、26です」
「あ、じゃあ同い年ですね!」
話しながら手早く何種類か料理をお皿に盛ると「はい、どうぞ」と俺に手渡し、ニコッと笑う。
俺はそのお皿を受け取りながら、愛想笑いを浮かべた。
料理を口に運んでいても、
隣の彼女が喋っていても、
俺の目線は香音ばかりにいく。
相変わらず先輩は香音の隣をキープしていて、少しずつ香音との距離を縮めていく。
………正直、見ててイライラする。
先輩が手を伸ばして、香音の髪に触れようとした瞬間。
反射的に立ち上がりかけた俺より先に、それを躱した香音が鞄を手にパッと立ち上がった。
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