再会

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「羽村~、お前どこ行ってたんだよ~?」 部屋に戻った途端、少し酔いが回った主任がニヤニヤと俺に近付き、グラスを持たされるとシャンパンを注がれる。 「すみません。ちょっと、忘れ物を届けに」 「…忘れ物?……んだよー、つまんねーな。珍しく羽村が女に興味を示したと思ったのに。……本当に何もなかったわけ?」 「ハハ、何にもないですよ」 俺は主任に向かって笑顔を浮かべたあと、さっきまで香音が座っていた場所へ向かい、腰を下ろす。 「……珍しいね。羽村があんなことするなんて」 隣に座る先輩が、シャンパングラスを傾けながら俺の方を見る。 その目には、興味と驚き、それから微かに牽制の色が潜んでいたように思う。 「……先輩こそ、彼女を遊び相手にしようと思ってるなら、やめてくださいね」
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