再会

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「……あぁ。彼女がなんだか具合悪そうにしてたので、もしかしたら帰るのかなって思って、置いたままだったコートを届けただけです。ほら、具合悪そうなのにあんな薄着じゃ、余計悪化するでしょう?」 その言葉に彼女は一瞬キョトンとしてから、 「えっ、香音、具合悪かったんですか!?」 「みたいですよ。さっきタクシーで先に帰りました」   彼女は慌てて鞄の中から携帯を取り出し「あっ、ほんとだ!連絡きてる」と呟くと、そのまま指を滑らし、パパっと返信をしてから、携帯を握りしめ俺を見上げた。 「羽村さん、よく気付きましたね!私、全然わからなかったです……」 驚きを含んだ表情を向けた彼女に、俺は切なく微笑む。 「……ずっと気になって見てたので」
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