再会

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先輩はふっと鼻で笑ったあとテーブルに頬杖をつくと、俺の目を見てハッキリ告げる。 「香音ちゃんだろ?羽村が大学の時に付き合ってた、大好きで仕方ない彼女って」 さっきとは違って、その顔に笑みはない。 「………それ答える必要あります?もう全部知ってるんでしょう?」 「なんだよ、ちょっとくらい動揺しろよ。つまんねーな」 明らかに面白くなさそうな表情を俺に向けると、身体を起こして再び湯呑みを手に取る。 先輩のこういうところ、本当に昔から変わらない。 「……香音に聞いたんですか?」 初対面のフリをした香音が、先輩に訊かれたからって素直に言うとは思えないけど。 何か弱味でも握られたんだろうか。 「いや、二人の態度見てたら気付いただけ。そういや羽村の元カノ、香音って名前だったな~って。あとお前、わかりやすいんだもん」
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