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なんで……?と言いたげな表情を向ける香音を、真っ直ぐに見つめる。
……そんなのひとつしかないだろう?
「会いたかった」それ以外の理由なんてない。
「とりあえず、ご飯付き合ってくれる?」
そう言えば、明らかに戸惑った表情に変わる。
俺はそれに気付かないフリをして、振り払われるのも覚悟でそっと香音の手を包み込んだ。
触れた瞬間、嬉しいような切ないような何とも言えない感情が湧き上がる。
「手っ、離して下さい!」
「ダメ。離したら逃げるだろ」
そんなこと言ってても、いつ振り払われるだろうかと心臓はバックバク。
だけどこれは俺なりの賭け。
少しでも触れることを許してもらえるなら、微かな期待を抱いてもいいだろうか。
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