決断

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「……あ!羽村さんっ、こっちです!」 夜八時。 待ち合わせの駅の改札を抜け、俺の姿を見つけた相田さんがブンブンと手を振っている。 「すみません。遅くなりました」 予定の時間より二十分ほど遅れてしまった俺は、笑顔を浮かべた彼女に頭を下げる。 今日の彼女は、オフホワイトのワンピースにデニム素材のジャケットを羽織り、髪は緩く巻いている。 「全然大丈夫ですよ!私もさっき着いたところなので、気にしないで下さい!」 ニッコリと笑いながら俺を気遣う彼女に、若干心が痛む。 「それじゃ、行きましょうか」 「はいっ!」 嬉しさを滲ませながら、隣を歩く彼女。 なぜ二人で食事に行くことになったのかは、今から一ヶ月前に遡る。
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