決断

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『相田です。先日はありがとうございました。もしよければ、近々お食事でも行きませんか?』 届いたメールを開いて、マウスを持つ手が止まる。 ………まじか。 いや、確かに連絡はこっちにしてほしいとは言ったけど、大抵はそう言えば諦めるわけで。 メール画面を開いたまま、少し長めの溜息を吐く。 ………どうするかな。 椅子に背中を預ければ、ギッ…と鈍い音が響く。 いつもなら上手く理由をつけて断るけれど、今回の相手は香音と同じ職場の女の子。 冷たく突き放せば、次会う時にお互い気まずいし、曖昧な態度は期待を持たせるだけ。 ………やんわりと断るか……。 そう決めてキーボードに指を置いたところで、ふと頭に過る考え。 香音は……俺が相田さんと食事に行ったら、どう思うだろうーー。
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