決断

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「………なんとも思わねえか」 ついこの間、香音本人からハッキリと「もう終わったこと」だと、告げられたばかりだというのに俺も懲りねぇな。 六年も抉らせた想いは、そう簡単に捨てきれない。 どう足掻いても望みなんてないっていい加減納得しなきゃいけないのに、まだ情けなく縋りつこうとしてしまう。 俺ってこんなに執着する奴だったんだと、思わずフッと笑みが零れる。 「………」 画面と向き合い、ゆっくりと指を動かして短めの文章を打つと、そのまま送信する。 最低だと思われてもいい。 諦めが悪い俺は、ほんの少しでいいから香音に"俺"を意識させたくて、彼女と食事に行くことを決めた。
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