決断

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「羽村さん、こんな素敵なお店知ってるんですね」 カウンターに並んで座れば、彼女は店内をぐるりと見渡したあと、俺に向かって微笑む。 テーブル席が三席、カウンター席が十席のこじんまりとしたお店。 落ち着いた雰囲気と目でも楽しめる創作料理が、女性に人気らしい。 「いえ、兄に聞いたんです。俺、こういうオシャレなお店には詳しくないので」 兄の勇我は俺とは真逆で、女性が喜びそうな店や物に対してのリサーチ力がすごい。 妹に言わせれば「ただチャラいだけ」らしいけど、俺としては、いざという時に頼りになる味方。 「へ~、お兄さんいらっしゃったんですね。私も、兄が一人いるんですよ」
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