小さな嘘。

決断

余計な期待を持たせた分だけ、彼女を傷付けてしまったかもしれない。
それでも彼女は怒るわけじゃなく、一瞬戸惑った表情を見せたあと、静かに微笑んだ。

「………わかりました。じゃあ……、今度はみんなでご飯に行きましょうね」

精一杯明るく努めてくれた彼女は、ペコ、と頭を下げてから、ホームに続く階段を降りていく。
たった今、彼女に告げた決断に迷いはない。
徐々に遠ざかる彼女の後ろ姿を見届けてから、俺はその場を離れた。