決断

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*** それから。 香音との関係は何ひとつ進展することなく、しばらく忙しい日々を過ごしていた。 連絡を取りたくても、今の携帯番号すら知らない。 職場に会いに行こうかとも思ったけど、香音が俺達の関係を周りに隠している以上、困らせるだけだと思ってやめた。 さすがに香音のアパートまで押しかける勇気はなくて、ずっと悶々としたまま毎日が過ぎていく。 そんな中、久し振りに実家へ帰った時のこと。 「なーなー、この間のデートどうだった?上手くいったのか?」 リビングのソファで寛いでいた兄貴が俺に気付くと、ニヤっと口元を緩めながらソファから身を乗り出す。
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