決断

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「そんなんじゃねーよ」 わざわざL字ソファの端の方に座ったのに、兄貴はお構いなしに距離を詰める。 「別に隠さなくったっていーだろ?…な、どんな子?なんの仕事してんの?可愛い?」 完全に面白がっている兄貴は、俺を質問攻めにする。 やっぱりこの間の店、兄貴に訊いたのが間違いだったな……。 「隠すも何も食事しただけで、まじで何もねーから」 「……まじで食事だけ?」 信じられん…といった目で俺を見る兄貴の瞳からは、若干同情も滲んでいる気がする。 大きな溜息と共に背中をソファに沈めた兄貴は、呆れたように呟く。 「まーだ引きずってんの?香音ちゃんのこと」
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