決断

12/20
前へ
/747ページ
次へ
自分でも馬鹿だってわかってる。 さっさと諦めて、新しい恋に向かう方がいいって頭では理解出来ても、心がそれを拒否する。 どんなに苦しくても、傷付いても、香音を諦めたくない。 「で、これからどうすんの?連絡先、知らねーんだろ?」 最も痛い部分を突かれて返す言葉を失くしていると、兄貴は怪しい笑みを浮かべる。 「………なんだよ?」 「会いに行く"口実"やろっか?」 そう言うとソファから立ち上がり、キッチンの方へ向かう。 何かを手にしてこちらに戻ってくる兄貴は、俺の前に白い箱を差し出した。 「これ、好きじゃなかった?」 「……?」 箱を開ければ、見慣れた和菓子。 俺はバッと兄貴を見ると、 「俺の彼女もコレ好きなの。今日家に来るから買っておいたんだけど、分けてやってもいいぜ?」
/747ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2052人が本棚に入れています
本棚に追加