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自分でも馬鹿だってわかってる。
さっさと諦めて、新しい恋に向かう方がいいって頭では理解出来ても、心がそれを拒否する。
どんなに苦しくても、傷付いても、香音を諦めたくない。
「で、これからどうすんの?連絡先、知らねーんだろ?」
最も痛い部分を突かれて返す言葉を失くしていると、兄貴は怪しい笑みを浮かべる。
「………なんだよ?」
「会いに行く"口実"やろっか?」
そう言うとソファから立ち上がり、キッチンの方へ向かう。
何かを手にしてこちらに戻ってくる兄貴は、俺の前に白い箱を差し出した。
「これ、好きじゃなかった?」
「……?」
箱を開ければ、見慣れた和菓子。
俺はバッと兄貴を見ると、
「俺の彼女もコレ好きなの。今日家に来るから買っておいたんだけど、分けてやってもいいぜ?」
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