2052人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「………つか、ここからどうすんだよ」
香音のアパートまでやって来た俺は、外灯の横の壁にもたれかかる。
勢いそのままでやって来たはいいけど、香音の部屋番号も携帯番号も知らない俺は、ただここで待つしかできない。
「大体、まだ帰って来てねーのかもわかんねーじゃん……」
冷静になってよく考えればわかることなのに、"香音に会う口実が出来た"という事実に舞い上がってしまった。
「……………………………帰るか」
会えるもんだと勝手に期待してた分だけ、残念な気持ちは膨らむけど仕方ない。
若干、後ろ髪引かれる思いでアパートに背を向け、歩き出そうとしたその時だった。
最初のコメントを投稿しよう!