決断

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一台のタクシーが俺の横を通り過ぎ、アパートの近くにハザードランプを点灯して、ゆっくりと止まる。 何気なしにそちらに視線をやれば、ドアが開き、ちょうど誰かが降りてくるところ。 「香音……」 ナイスタイミングとは、このこと。 今、まさに会いたかった人がすぐそこにいる。 俺は背を向けたままの香音に声を掛けようと、一歩足を踏み出すも、すぐにピタ、と立ち止まった。 誰かと一緒……? 何やら楽しそうに会話をしている相手の顔が、視界の端に過る。 「………………なんで」
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