告白

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ふいに投げられた石田さんからの疑問。 「俺も興味あるわ。今も忘れられないくらい好きだったんだろ?」 主任からノンアルコールビールを渡され、俺はそれをひとくち流し込んでからゆっくりと口を開く。 「そうですね、……笑顔が可愛いくて、いつもいい匂いがして、料理が上手で。でもちょっと意地っ張りなところがあって素直じゃない」 あまり触れたくなかった過去を自ら話すのは、先輩に対抗したいだけでなく、きっと香音にも聞いてほしかったから。 「それから、……一生懸命で我慢強くて。それが彼女のいいところでもあるんだけど、何でも一人で溜め込むから心配になる。………あと、」 これを口にすれば、香音が怒るだろうということはわかっていたのに。 それでも俺は、言わずにいられなかった。 「……苺が大好き」
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