告白

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一瞬、先輩から挑戦的な瞳を向けられた気がして、無意識にギュッと右手を握りしめる。 「……ったく、崇翔の奴……」 「桐生さん、本気っすねー」 香音の肩に回された腕。 ピタリと寄り添う身体。 ………見ているだけで気分が悪い。 「北見さんも桐生さん相手なら、コロっといっちゃうんじゃないですか?」 「ん~……どうだろうね。崇翔には厳しいんじゃないかな」 「ええっ、桐生さんでもダメなんすか!?」 ふたりの会話も耳に届かないくらいに、俺は一点だけを見つめ続ける。 どんどん小さくなっていく、ふたりの後ろ姿。 言いようのない焦りが胸に溜まっていくようで、目の前のノンアルコールビールを掴むと、それごと一気に流し込んだ。
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